ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ワインのテロワール

    今朝NHKのおはよう日本をいつものごとくボッーと見ていたら、山梨県のワイン造りについての特集があり、テロワールについて話しをしていました。NHKもなかなかのチャレンジャーですね。というのもワインにまつわる概念の中でテロワールは理解しにくいものの一つなんです。テロワールというのはフランス語で、ピッタリくる単語が英語にも日本語にもありません。なのでフランス語のテロワールをそのまんま使っています。

    テロワールは、ワイン用の葡萄が育つ自然環境属性と私は理解しています。自然環境属性は、自然環境要因から構成されます。自然環境要因には、大きく気候、土壌、標高、土地の傾斜などがあります。こういった要因が葡萄畑単位で自然環境属性 テロワールを構成します。この葡萄畑単位というものがくせもので、数十メートルズレれば、環境要因の掛け合わせの環境属性、つまりテロワールは異なってしまいます。テロワールが異なる葡萄畑から造られたワインの基本的な特徴は当然異なったものになります。

    テロワールは自然科学の範疇に入ります。重要な自然環境要因の気候について考えただけでも、海洋性気候、大陸性気候、地中海性気候、山岳気候と大きな区分がありますよね。同じ気候区分のエリアでも、平地、盆地、丘陵地がありますし、近くに川があるとかないとか、火山など色々な自然環境要因が考えられます。この葡萄畑の場所によって異なる環境的な特徴をミクロクリマと言います。

    もう一つの大変に重要な自然環境要因が土壌です。土壌は、地表の土壌だけではなく、葡萄の木の根がおりる一つ下の地層の土壌が重要になります。石灰層、粘土層、片岩質、火山岩質などあり、ワインの香りや味わいにダイレクトに効いてきます。

    この気候的地理的な要因と地質的な要因により自然環境属性つまりテロワールが作られます。今朝のテレビでは、山梨県のワイナリーの責任者の方が、ある時、素晴らしいワインができた、どうも今までのものとは違うと気付き、担当者に尋ねると、単一の畑つまりシングルヴィンヤードの葡萄で造られたワインだったとおっしゃっていましたが、おいおい今頃気づいたのかよ、という話です。日本のワイナリー全部とは言いませんが、今ひとつメージャーになりきれない原因の一つがここら辺りにもあると思います。世界のワイナリー、特にニューワールドのワイナリーは、テロワールの異なりを上手に利用したワイン造りを進めています。決して遅いということはないので、ぜひ日本のワイナリーにも頑張って頂きたいと切に願います。

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