ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

日本の酒の神様

    「今日も美味い酒が飲めるのは、酒の神様のおかげだなぁ!」

まあ、頑張っている自分へのご褒美に酒の神様が美味い酒を授けてくれたと考えれば、神様の手前、暴飲は避けられると思います。とにかくやけ酒を除いて酒はスマートに飲みたいものです。

    その酒の神様ですが、どちらの神様でしょう。日本には八百万の神様がいらっしゃいます。酒の神様はどちらの神社にお祀りされていらっしゃるのでしょう。   

    最近、神棚のあるご家庭は少なくなってきていると思いますが、神棚には御神酒(おみき)という酒が付き物です。この御神酒からもわかるように、古来から日本では酒と神事が結びついています。この御神酒は日本酒、清酒ですね。したがって、日本の酒の神様は、日本酒の神様ということになるんですが、そこはアレです。なんつっても神様ですから、ワインの神様もビールの神様も兼ねていらっしゃると考えてもバチは当たらないと思います。

     酒の神様というと、奈良の大神神社、京都の松尾大社や梅宮大社が有名です。奈良の大神神社には、今年の関西出張の折にお参りさせて頂きました。静かで心が洗われました。

大神神社

f:id:nwawinescom:20190919043316j:image大神神社は、日本最古の神社といわれています。延喜式の社格は官幣大社で、のちに大和国一之宮、二十二社の一社にも列なります。ご祭神は大物主大神。大己貴命と少彦名神が祭祀されています。奈良県桜井市三輪の地に鎮座なされています。

f:id:nwawinescom:20190919043321j:image何故大神神社が酒の神様かなんですが、大神神社の神語りによると、その昔、大物主大神を敬う崇神天皇は神に捧げる御酒を造るために、高橋邑の活日という人に掌酒に任じました。掌酒というのは酒造りの責任者ですね。活日は一夜にして美酒を醸しました。

f:id:nwawinescom:20190919043330j:image崇神天皇と家来達は、酒を酌み交わし楽しみました。この故実から、ご祭神の大物主大神は酒の神様になったようです。万葉集にも、「好酒の三輪」と詠われていますので、三輪の地は酒造りに適していたのでしょう。

    今でも、毎年11月、醸造安全祈願祭があり、全国から酒造家や杜氏さん達が集まり、新酒の醸造安全を祈ります。

松尾大社

松尾大社は京都最古の神社と言われています。ご祭神は大山咋神と市杵島姫命です。京都市嵐山に鎮座なされています。

f:id:nwawinescom:20190919051820j:image松尾大社HPより

境内には霊亀の滝や亀ノ井の名水がありますし、酒造りの技術者を多く抱えていた渡来人の秦氏が氏神として信仰したことからか醸造の祖神とされています。

f:id:nwawinescom:20190919051839j:image松尾大社HPより

梅宮神社

京都市右京区梅津に鎮座なされています。橘氏の氏神です。ご祭神は、酒解神、酒解子神、大若子神、小若子神。酒解神は大山祇神で酒解子神は娘さんの木花咲耶姫です。ご祭神に酒とあるように、ご神徳は醸造安全です。

f:id:nwawinescom:20190919053303j:image梅宮大社HPより

毎年11月の第1卯の日に、醸造安全繁栄祈願祭が執り行なわれています。

    古来から我が日本では、酒と神事は密接に結びついています。神棚に御神酒をあげるのも、酒が何か神聖なものとの認識があったようです。酒を飲むと気分が良くなったり、気持ちが高揚したりします。古代の人々は、酒に何か人の精神に作用するものを感じていたのかもしれませんね。

    酒は頑張っている自分、ずっと頑張ってきた自分への神様からのご褒美です! 今日も美味い酒が飲めるのも酒の神様のおかげです。