七夕と和歌と別れの朝
今日は七夕ですね。織姫と彦星が一年に一度逢える日です。寂しい話ですが、逢えば別れなければなりません。織姫と彦星が別れるのは何時なんでしょう? 7月7日でしょうか? 私は、彦星は織姫の所に一晩泊まって翌朝帰っていくと思います。つまり別れは7月8日の朝だと思います。これは昔の和歌を詠むと、7月8日の朝に彦星が帰ったと、その時代の人が考えていたとわかります。
『今日よりはいま来む年の昨日をぞいつしかとのみ待ちわたるべき』(壬生忠岑 古今集)
これは明けた7月8日の朝の織姫の気持ちを詠んだ歌です。
『朝戸あけて ながめやすらむ織女(たなばた)は あかぬ別れの空を恋ひつつ』(紀貫之 後撰和歌集)
この歌も、別れの朝の織姫を詠んだものです。
もう一首、
『鵲の渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞふけにける』(新古今和歌集 巻第十六 冬歌 中納言家持)
これは冬に詠まれた歌なんですが、七夕歌と言われています。『鵲の渡せる橋』という表現があるからです。鵲が七夕の日だけ群れをつくって、織姫と彦星の逢瀬をサポートする橋をかける、とうことが詠み込まれています。この時代の人は、鵲か群れて橋をかけると考えていたようです。
日本人にとって七夕は重要な日です。全国で七夕祭りが開催されていますよね。七夕は現代人の私達にとってもロマンチックな日だと思います。子供達は願い事を書いて笹の葉に吊るします。カップルはふたりでお互いのことを話しながら時間を共有する。
皆さまの幸せな七夕を祈ります。