珍しい産地のワインが飲みたい アルボア
ボルドー、ブルゴーニュ、ピエモンテ、ナパバレー、リオハやモーゼルなどは高名なワインの銘醸地で、しかも大体において安定と信頼の品質が保たれています。でもたまには、ちょっと変わったというか珍しいというかレアかもしれないというか、そんなワインを飲んでみたいと思うことがあります。
最初に頭に浮かんだのは、ワインのオールドワールドの国で、少し外した地域のワインです。
フランス ジュラ県 アルボア
スイスとの国境も近い所にアルボアArboisという小さな町があります。ルイ・パスツールが少年時代を過ごした町として有名っちゃあ有名。人口は4千人に満たないようです。アルボアは小さい町ですが、ワインの世界では割と有名です。1936年にAOC認定。ワイン用の葡萄の主な品種は、白葡萄はヴァンジョーヌにもなるサヴァニャン。黒葡萄はプールサール。ジュラ県最大の産地で赤ワインが生産量の70%を占めています。アルボアAOCで認定されているワインの種類は、赤、白、ロゼ、黄(ヴァンジョーヌ)、そしてヴァンドパイユという陰干しした葡萄から造る甘口ワイン。なんと5種類もあるんですね! ちなみに同じジュラにあるシャトーシャロンというAOCは、ヴァンジョーヌのみが認められています。
写真はドメーヌジャックティソのヴァンジョーヌ。ヴァンジョーヌに使われる葡萄はサヴァニャン。日本で買うと価格が割と高くて、だいたい1万円前後します。ヴァンジョーヌは、収穫してからオークの小樽に入れて、少なくとも6年目の12月15日までは熟成させます。しかもその内の最低60か月は産膜酵母下で熟成と長〜く熟成させるんですね。長〜く熟成させると、中のワインが目減りするんですが、フランス語でウイヤージュという補酒は禁止されています。こうしてできたワインをClavelinクラブランと呼ばれる瓶に詰めるんですが、この瓶は620mlなんです。通常のワインボトルは750ml。かなり割高になるワインですね。ワインの色調が黄色味を帯びているので、ヴァンジョーヌ、黄ワイン。
これは、同じくドメーヌジャックティソのサヴァニャン。白ワインのサヴァニャンは、辛口、果実味が豊かでしっかりとしたテイスト。香は高く割と複雑。
こちらは、プールサール。赤ワインです。
陰干しした葡萄から造るヴァンドパイユ。パイユは藁の意味です。昔は藁の上に葡萄をのせて陰干ししたようです。これは、シャルドネ、プールサールとサヴァニャンの混醸。
ヴァンジョーヌやヴァンドパイユは、価格が高めなんですが、サヴァニャンの白ワインやプールサールの赤ワインは手が届きますので、もし見つけたら、「珍しい、ラッキー!」と思って買ってしまいます。
出典は、すべてDomaine Jacques Tissot