ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

秋の気配と風のワイン

 『秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる』

古今和歌集に収録されている、藤原敏行朝臣の歌です。昔から好きな歌です。この歌は、『秋立つ日に詠める」と詞書があるので、立秋の日に詠まれています。今の暦で8月10日前後でしょうか。この時期は、平安時代とはいえ、まだまだ暑かったと思います。それでも、ビルや自動車の無い時代、夜になると、涼しい風が吹いて、「ああっ、秋が近いかも。」と感じんたんでしょう。

 今は九月半ば。平安時代より確実に暑い現代でも、朝晩は涼しくなって、風の気持ち良い季節になってきました。

 秋風を感じるワインを探したいと考えたことがあります。名前に『風』が付くワインはありまして、下記のワインなんかがそうですね。

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ココファームワイナリーの風のルージュ

出典 https://www.aeondewine.com/shop/goods/goods.aspx?goods=A106-2007941582624&bannerid=aw20_WnDbMC58&exmid=CPC&gclid=Cj0KCQjwqfz6BRD8ARIsAIXQCf3Ohb5WzECD3juhhgEe0TkzgzVXtNoafcpfuGmPjsEM3EpcWvBUs3waAsqzEALw_wcB

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ドメーヌ・ド・ラ・ガランスのその名も『風』のキュベェ

出典 https://item.rakuten.co.jp/morisawa/10006475/

 日本酒ですと、ひやおろしや秋あがりなどが秋風の立つ頃に飲む酒です。ワインはどうでしょうか? 秋は葡萄の収穫時期です。北半球の主なワイン産地では、早ければ九月に収穫を開始します。今年の葡萄の出来不出来を心配し、今年のワインはどんな感じになるのかなぁ、と期待する気持ち。

 食欲の秋。

 芸術の秋。

 天高く馬肥ゆる秋。

 何故か心が揺れる秋。

 夏の恋の終わる秋。

個人的には、ワインをかたむけながら、昔愛したあの人のことを思う秋が良い感じです。相応しいワインは、女性的なものが良いですね。あの人を思い出しやすい。

 ドイツ ラインガウのリースリング

花の香りを感じて、スッと飲めるのがリースリングの良いところ。ラインガウは個人的好みです。

 フランス ジュラ地方のサヴァニャン

 サヴァニャンも女性的なワイン。

 まあ、勝手なことを書きましたが、この季節、多少感傷的になっても良いと思います。来し方行く末を考えるのも良いです。その場合は、もう少し強めのワインをおススメします。カベルネソービニヨンとか。