ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

甘味- 東京の味、京都の味、大阪の味

 今回は、東西の甘味の違いについて考えるんですが、私の味覚の好き嫌いについて、先にお断りしておきますと、我が家は父方、母方ともに代々江戸と東京です。母方のひい婆さんが京都の生まれ育ちなので、母親の舌にはやはり京都の味が残っていまして、子供の頃の我が家の家庭の味は、東京の味と京都の味が混ざっていました。父は完全に東京の山の手で、母は基本的に東京七割、京都三割ぐらいの味になっていたわけです。一応、味覚はハイブリッドです(笑)。そのせいか、甘味については京都・大阪(京都と大阪では、これも違いがあるんですが)の方が好きです。

 何故こんな話をするかと言うと、味、味覚は、育ちの影響が大きいからです。子供の頃、どんな味のモンを食べてきたかによって、味覚というか、味の好き嫌いが決まってくるわけです。

 例えば、東京の山の手の味は、一言で言えば『しょうゆ』の味ですね。基本的に何にでも醤油をかければ食べれるというのが、多くの根っからの東京人です。代々東京の山の手に生まれて育った人間は、だいたいこういうタイプになります。また、下町の方で顕著なのは、かなりキツめの甘辛い味。甘ジョッパイと言うんですかね。東京風の稲荷寿司を食べるとわかりますが、実に甘ジョッパイ味が濃い。私は、実はこの濃いめの味付けが苦手です。関西風の稲荷寿司の方が好きです。

 今回のテーマは、和菓子の『あんこ』の味。東京、大阪、京都の味の違いを考えてみたいと思います。この三都市では、明らか甘さの塩梅が異なります。あんこに代表される和の甘味は、塩梅つまり塩や砂糖の配合バランスによって味が決まりますので、伝統的な和菓子の味の塩梅は、決まっているわけです。

f:id:nwawinescom:20201112122018j:image

栗蒸し羊羹二種(鍵善良房と甘泉堂)

 こういうことがありました。大阪に喜八洲(きやす)という和菓子屋があります。大阪に何件かあるんですが、本店は十三。私は、ここのぼた餅やきんつばが好きで、大阪出張があると買って帰ります。この喜八洲のものを、一度、私の部門にお土産で持って行ったところ、あまり受けませんでした。たまたまですが、部員の多くが北関東と福島、東京の下町の出身者でした。そこで、3人ぐらい呼んで、味について正直なところを聞いてみました。

 『美味しいとは思うんですけど、何か物足りない。』

 『塩っけがもう少しあったら。』

やはり、東京風というか関東風は、甘味も塩味も濃いめの方が好みに合うようです。

f:id:nwawinescom:20201115221429j:image
f:id:nwawinescom:20201115221434j:image

大阪十三の喜八洲の花ぼた餅

 東京のあんこと関西のあんこの違いは、あんこ研究家の姜 尚美さんの書かれているように、塩気だと思います。東京人は昔から塩気が多くて甘味も強い味が好きなんですね。これは、私の小中高の友人の嗜好が、塩と醤油、砂糖による甘ジョッパさにあることからも、正しいと私は思います。

 私、個人的には、東京、京都、大阪、それぞれ美味しく頂いています。  

 東京では、日本橋のうさぎ屋のどら焼きや赤坂菊野の最中、虎屋(もともとは京都)の夜の梅などは大好きです。

 大阪の和菓子は、京都よりも庶民的な味わいがあって美味しいです。

 京都は、好きな和菓子屋が多くあり、鶴屋吉信、鍵善良房、甘泉堂、嘯月、亀屋伊織などは、京都に行くと買い周ります。

 東京、京都、大阪。どちらの味が好きか言え、と言われれば、京都の和菓子の味の方が好きですと答えます。理由は、老舗ではない街の庶民的な和菓子ですと、京都のものが一番好きだからなんです。(東京のしょうゆのダンゴは別物で大好きです。これはみたらし団子とは違います。)

 甘いものを食べているときは、やはり幸せな時間です。

#京都の和菓子 #東京の和菓子 #大阪の和菓子 #和菓子 #あんこ