ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

人は同じように感じない 伝える技術 

 エバンジェリストやエバンジェリズムをご存知ですか?私が長年勤めてきましたアメリカ系外資のIT関連企業では、エバンジェリズムが重要とされています。

 エバンジェリストとは、もともとはキリスト教の伝道者を指す言葉なんですが、現代の米国のIT業界では、IT関連技術を社内外に普及させる人達の意味で使われています。

 新しい技術や新機能が割と速いテンポでリリースされるので、それをユーザーやマーケットに伝えることが製品を使って頂くキーの1つになるからです。この仕事を担うのが、エバンジェリストという職種の人達。このエバンジェリストは知識やスキルを他人に伝える能力が必要になります。


 知識やスキルがあることと、それを他人に教える、伝える能力は全く別物だ、が今回言いたい事なんですが、例をあげると、Excelを使うスキルは高いんだけれど、そのスキルを他人に伝えるのが下手っぴ、でうまく伝わらない場合がありますよね。


 何かを教わる場合、こういう伝え下手や教え下手な人達に出会うと最悪でして、大概論点がズレて、知りたいことはそこじゃないんだよねということがおうおうにして起きます。こういう人達は、ほぼ自分の知識やスキルのみをベースに物事を考えるようで、それを知りたい人達の立場では考えません。つまり自分と同じ能力や理解力があると思っているんですね。

 

 以前に、とあるハンズオントレーニングに出て、こういう人達に遭遇してしまいました。まあ時間の無駄をしたんです。説明下手。内容のレベルが中途半端。ハンズオンと言っておいて、オーディエンスがついてきているかをまるで考えないで、講師が勝手に進める。などなど。一言で言えば、開催者のただの自己満足です。有料無料に関わらず、時間の無駄が一番痛い。他人の時間を尊重して欲しいと思います。

 ビジネスで、私は講師をすることがよくあるんですが、参加してくれたオーディエンスが、何かを得てくれるよう、参加して良かったと思って頂けるように心を砕くようにしていますが、この点もっと肝に銘じようと思いました。

 

 ワインの知識についても、伝えることはとても重要です。特にワインは嗜好品ですので、同じワインを飲んでも、同じ認識を持つとは限りません。いや、程度の差こそあれ、異なる認識を人それぞれ持つようです。ワインの香りの表現を考えてみても、同じように感じているかどうかは、やはりわからない。そこで日本ソムリエ協会が使っているような表現に寄せるわけです。ブルーベリーやブラックチェリーの香りといった表現を使うわけです。

 レストランで、ソムリエに、こういうワインを飲みたいを上手く伝えられれば、と思ったことはありませんか。良いソムリエは、あなたの、『こういうワインが飲みたい。』を理解しようと努力しますが、もし適切に使える表現があれば、楽に伝えることができます。

 

 日々のビジネスや人とのコミュニケーションを考えてみても、伝える技術は必要ですよね。『何を言いたいのか、わかんないんだけど。』ありますでしょ。大事なことは、相手が何を求めているのか、気持ちに寄り添って話をすることではないでしょうか。