野性、土着、ローカルワインの楽しみ
ワイナリーに行くと、垣根仕立てであろうが棚仕立てであろうが、下の写真のように、ブドウは整然と栽培されています。栽培されているブドウですね。
高畠ワイナリー
それでは野性のブドウはというと、見たことはあまりない。本来、ブドウは森林地域にはえている蔓(つる)植物なんです。多少なりとも野性のブドウの事を知りたいと思い、調べてみました。日本の野性ブドウについていくつかわかりました。
日本原産の野性ブドウ
日本には、7種8変種の野性ブドウが日本全土に分布、生育しています。ヤマブドウやサンカクズル、リュウキュウガネブなどです。
(出典 日本原産野生ブドウの育種的利用 山下裕之 農業および園芸誌 2019年4月 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010927091.pdf)
野性ブドウは、かなり酸っぱく食用にあまり適していなかったせいか、ワインにも使われてきませんでした。ところが北海道池田町の十勝ワインがヤマブドウを使ってみたところ(もちろんご苦労があったと思います)、うまくいったことから、近年、ヤマブドウをワインに使う試みが他県でもなされてきています。
下の写真の清見とヤマブドウを掛け合わせた、清舞や山幸というワインが十勝ワインから売られています。残念ながら、手元に清舞や山幸の写真がありませんでしたので、清見。
また、沖縄でリュウキュウガネブを使ったワイン、涙(ナダ)があります。
土着品種の楽しみ
ワインの品種というと、いわゆる欧州種のヴィティスヴィニフェラ、つまりピノノワールとかソービニヨンブラン、メルロー などを思い浮かべませんか。これらの品種はまた、国際品種とも呼ばれています。
それではヨーロッパではローカル品種はどうなっているんでしょうか。結論から言ってしまうと、とにかく土着品種は多い、です。ポルトガルやイタリア、オーストリアなどけっこう多くの国で土着品種を使って造られたワインがあるんです。ポルトガルは、土着品種の王国とも言えるほど多いんです。イタリアの有名どこでは、シチリア島のネロ・ダヴォラやトッレビアーノなどがあります。
もちろん、土着品種を栽培してワインを造るわけですから、その時点で野性ブドウとは言えなくなります。結局、人間の手で、新しい品種を作ることも踏まえて、ワインに使うブドウももともとは野性ブドウです。国際品種もおおもとまで辿れば野性ブドウなわけで、それを人間が栽培にもっていったわけです。
ワインのテイスティングの基本は、どうしても国際品種になるんですが、土着品種には、国際品種では味わえない新しい出会いがあります。どんな香りがするんだろう。味わいは。などワイン好きとしては興味が尽きません。土着品種、ローカルワインの楽しみです。飲んだことが無い品種のワインと出会ったら、ラッキーと思って、ぜひ飲んでみて下さい。ワインライフが豊かになります。