ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

月の満ち欠けとワイン

 ビオディナミという単語があるんですが、これはフランス語で、英語でいうとバイオ・ダイナミックス。後ろに農法がくっついてバイオ・ダイナミックス農法となります。日本語は、生体力学農法。有機農法、自然農法の一種で、ワインの世界では、自然派のワイン造りの手法の一つで、月の満ち欠けに基づいた栽培方法です。

 

バイオ・ダイナミックス農法

 20世紀初頭に人智学、ヴァルドルフ教育法を提唱した、ドイツの哲学博士ルドルフ・シュタイナー氏による「農業講座」が基礎となっています。
 バイオ・ダイナミックス農法の根底には、「全ての生命は、地球上で完結しているのではなく、地球を含む宇宙の営みからも影響を受け、調和しながら生きている」という考えがあります。

 農法ですから、ワインに限ったわけではなく、食品や飲料、化粧品などの農産品を使用した製品でも利用されています。

 

認定機関

 認定機関もちゃんとありまして、代表的な認定機関として1987年にフランス政府が認められた「DEMETER デメテ―ル」があります。非常に厳しい認定基準で、最低でも7年、規定にのっとったビオディナミを行うと、7年目以降に認定されるものです。

 

種蒔きカレンダー

 ビオディナミ、バイオ・ダイナミックス農法は、ブドウ栽培で具体的に何をするのか。

 バイオ・ダイナミックス農法には、種蒔きカレンダーと呼ばれる農事暦があって、重要なポイントについて、いつなにをするかが決まっています。この種蒔きカレンダーは、地球や宇宙の大きなパワーを取り入れ土地や植物の活力を最大限に引き出すため、月、惑星、星座の位置から割り出したものです。

 このカレンダーには、月の満ち欠けに基づいたブドウの種蒔きや収穫、瓶詰の時期、さらにはワイン熟成用に使う樽のオーク材の伐採日などまでもが細かく記されているそうです。

 ちなみに、農薬は、天然のものを除いて、使いません。

 

ビオディナミのワイン

 

 こう書いてくると、なんだかオカルティックな感じもしてくるんですが、樹勢が良くなるなど、実際に良いことが多いらしく、近年、バイオ・ダイナミックス農法を取り入れるワイナリーも増えてきているようです。

 

 実際のワイン、ワイナリーでは、

超有名どころで、『ロマネコンティ』

フランスローヌのいくつかのワイナリー

日本では、サントリー登美の丘ワイナリー

などがあります。あくまで代表例です。

 

 なお、自然派ワインには、ビオディナミ以外にも、リョット・レゾネやビオロジックがありますが、この違いはまたの機会に。