ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ワインの官能評価

 官能試験・評価という言葉をご存知だろうか。食品や飲料、香料の品質を人間の感覚(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚など)を用いて検査、試験、評価をすることなんですが、食品メーカーなどでは、必ず実施される重要で有効な方法となっています。

 官能という単語を聞くと、官能小説のような性的な意味の官能を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないかと思いますが、そういった意味合いではありません。念のため。人間の五感を使ってという意味です。

 ワインでも官能評価を行いますし、重要です。ワインの場合、テイスティングという言葉のほうがしっくりきますね。機器を使った分析や微生物検査といった科学的な分析とともにワイン製造の多くの工程で、テイスティング、官能評価を実施しているんですね。

 官能評価は、人間の五感を使った評価方法ですので、客観性を担保するのが難しいわけです。同じワインを飲んで、あなたと私の感じたことは異なる、なんてことが起きます。ソムリエと初心者では異なるテイスティング結果になることも多い。

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 テイスティングで、渋味や甘味、酸味などが強い、弱いなど評価をしますよね。まあ、評価というより感想なんですが、初心者は初心者なりに何かを感じて口にするわけです。それが官能評価なんですね。ですから、ワインの製造者自身の評価、ソムリエや評論家などのプロの評価、消費者の評価というのが、一本のワインに対して為されるわけです。

 製造者の官能評価の場合、官能評価のバラツキを少なくして、なるべく客観性を担保するために、いくつか官能試験の方法が考え出されています。今後はデータ分析やAI人工知能を活用した新たな方法も確立されていくんじゃないでしょうか。