ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

センベロの中のワインバー

    自宅から大井町駅方面に歩いて約15分のところにワインバーを見つけたので、何とは無しに入ってみた。大井町駅周辺は、昔からの飲み屋がこれでもか、これでもか!と多いのだが、角打ちなんかもあるようにセンベロが主流。小洒落たワインバーは数軒はあるが、やはり少ない。そもそも大井町とオシャレな、や小洒落たなどの形容詞は合わない。酒呑みの、や貧乏臭いこそが似合う街だ。

    入り口のドアを開けると即カウンターの狭い店。ソムリエの葡萄のバッジを左胸に付けた店主が一人で切り盛りしている、椅子が7つ限りのカウンターのみの小さな店である。息がつまるということはない。私は、肩寄せ合って座るのは苦手なので、カウンターのみの小さな店は、店のドアを開けて息苦しそうだなと感じると回れ右をして入らないのだが、この店は居心地が良さそうだったので、そのまま中に。カウンターの奥の席をすすめられた。座って店を見渡すと、この辺りで、木曜日の夜がどの程度客の入りがあるのかわからないが、私の他には常連らしき男性客が一人だけ。会話が響くレベルだ。

    ワインはある意味場末のワインバーにはふさわしくない品揃えで、グラスワインは赤白ともに数種類が用意されている。ボトルもフランス、スペイン、カリフォルニアと良いところが揃っている。コスパはすごく良いとは言えないが、まあ悪くないかなと思う。

    凝った料理やがっちり食べられるものは無いが、鴨のパテやトマトとモッツァレラのカプレーゼなどワインのお供的なものが美味しい。

    店に入る前、既に食事は済ませて、ワインも3杯ほどは飲んできていたので、グラスワインでお願いした。ナパのソービニヨンブランを頼んだ。気持ちの良いフレッシュさがあり酸味は少ない。そこそこ口合った。カプレーゼと良い関係だ。調子に乗って、少し値段が高めのピノノワールを。どこのピノノワールか聴くと、ルーマニアのだと言う。ピノノワールにしては優しさが無く野蛮な感じ。ミディアムボディ。悪くはないがコスパが悪い。もう少し飲みたかったので、店主に好みを話すと、よさげな南イタリアのサンジョベーゼがあるという。果実味は強く、タンニンや酸味は弱い。あれっ、サンジョベーゼの特徴からは離れているような気がする。スパイスっぽい香りと果実味のしつこさはサンジョベーゼだ。少し下品な味で半分くらい残した。

    大井町駅近辺というセンベロが幅を利かす飲む価格がかなり安いエリアだということを考えると健闘しているワインバーだと思った。新しい発見もありそうな店だし、店主もひとくせありそうで興味があるので、もう一回や二回は行って、チョット掘ってこようと思った。

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ルーマニアピノノワール

UNIBIS HPより