ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ワインと日本酒とクラフトビール

    日本を良く知るアメリカ人やカナダ人、フランス人の友人は、来日すると必ず純米大吟醸を飲ませろと言います。本国では、ワインとクラフトビールが好きな奴らなんですが、日本の地酒的な純米酒も大好きです。醸し人九平次や湊屋藤助などの純米酒をおでんやモツ煮なんかと一緒に。フランス人の友人の場合、味噌も好きですね。もろきゅうなんかをボリボリやっています(笑)。純米酒の原料になる山田錦や雄町、五百万石などの酒造好適米なども知っているのがいるのにビックリしました。対してワイン好きの日本人の友人なんですが、やはり高い確率で純米酒クラフトビールが好きです。まあ、単なる酒好きという話もあるんですが、こういう人間は、瓶のラガービールはめったに飲みませんね。「とりあえずビール」は無いですね。また、酒ならなんでもいいというタイプを毛嫌いします。中には鼻持ちならないスノッブな奴らもいますしね。こういう友達は他山の石で、自分自身の反省材料にしています。

    私はワイナリー巡りが趣味ですが、泡盛や日本酒の蔵元を訪ねるのも好きです。良いワインと同じように、伝統を大事にして、かつ新しいことにも投資・挑戦をする姿勢を感じます。そして何より丁寧な酒造りをしています。これまでにも宮古島泡盛の酒造、伏見の蔵元、奄美の焼酎の酒造、沖縄本島泡盛の酒造など楽しく訪問しています。だいたいのところは試飲もさせて頂けるので、自分好みのものを買って帰れます。

    ワインと日本酒は製造法で分類した場合、醸造酒という同じカテゴリーになります。大きく分けた場合、基本的な造り方は同じになるわけです。ちなみに泡盛や焼酎は蒸留酒になります。醸造酒というのは、果物や穀物酵母の力でアルコール発酵させた酒です。同じ醸造酒でも、ワインと日本酒では発酵プロセスに違いがあります。簡単に言うと、ワインは葡萄をアルコール発酵させたもの。葡萄は糖分があるのでそのままアルコール発酵できます。対して日本酒の場合は、米には糖分が含まれないので、まず麹菌でデンプンを糖化させて、それからアルコール発酵というプロセスになります。

    ワインと日本酒を分けるのは、醸造プロセスの違いだけではなく、畑の存在もあろうかと思います。ワインの場合、ブルゴーニュの格付畑のように、どの場所にある畑かが、ワインの等級や香・味、そして価格にきいてきます。日本酒の場合も、蔵元は、信頼できるお百姓さんと田圃の場所や米の銘柄に気を遣っているようですが、ワインほど話題にはならない。ですので、日本酒を購入する場合の情報として、一般的に米の銘柄は書いてありますが、どの地域の田圃かはありません。仕込む水も含めて日本酒のテロワールも大事だと個人的には思うんですが。

    今夜はワインですか? 日本酒にしますか? それともタップのクラフトビールを飲みに行きますか?

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湊屋藤助 純米大吟醸