ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

日本酒の酒造年度と新酒

 ワインのヴィンテージのように、日本酒にも酒造年度というものがあります。酒造年度の表記に関しては義務ではないため、ラベルに表記があったりなかったりです。表記をしていても方法はバラついています。例えば、BY。BYは、Brewery Year(酒造年度)の略。01BYという表記や19BYという表記があり、01BYは、令和元年の醸造、19BYは2019年の醸造で、これは同じ年の醸造なんですね。その他、2021と西暦が書かれていたり、令和二年と和暦になっていたりします。要するに書き方自由。

 表記方法はバラバラなんですが、酒造年度は酒税法で明確に決められています。日本酒の酒造年度は『7月1日から翌年の6月30日まで』。日本酒のBYは、もともと蔵元が国税庁に生産量の見込み申告をするために設けられたもので、ラベルへの表示義務はありません。税金、ですよね。

 飲み手にとって、日本酒の酒造年度はあまり重要視されてきませんでした。日本酒は「新酒」をたのしむのが一般的だからです。酒造年度を表示する理由が無かったんですね。最近、BY表記がされている主な理由は、日本酒も熟成させるものがあるからなんです。

 日本酒はほとんどが新酒で飲むわけなんですが、それでは新酒が最初に飲める時期はいつでしょうか。最初と書いたのは、今年の新米で造るので、11月に飲む酒も3月に飲む酒も新酒なんですね。なので、荒ばしりや中取りとかを表記するんですが、これはまた別途説明します。

 新米はだいたい秋(9月から10月)に収穫されます。日本酒に使う米は、だいたいの場合、山田錦や五百万石のような酒米・酒造好適米を使いますが、これらも収穫時期は秋です。この新米を使って醸造するので、新酒というか最初の新酒か飲めるのはだいたい11月から新春でしょうか。最近は、温度管理などの技術が発達しているため、季節を問わず、年中日本酒を造っている蔵元もあります。

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 そう、これからの冬の時期が、日本酒はよりフレッシュな新酒(言い方が変ですが)が飲める時期なんです。冬は海鮮が美味しい時期ですし、鍋物も楽しい。今宵、日本酒で一献かたむけてはいかがでしょうか。