ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

お江戸の禁煙令

 お江戸の華は、『火事と喧嘩』なんてことを言うわけなんですが、喧嘩はさておき、火事はいけません。木と紙の家では、もうどうにもならない。全てが灰燼に帰してしまいます。華と言ったのは、きっと江戸っ子の強がりでしょう。

 江戸時代の火事の原因の1番は、煙草の火の不始末だったようです。この時分の煙草は今のような紙巻きタバコではなく、煙管に煙草の葉を詰め、火をつけて吸う形のものでした

 徳川家康が大御所として駿府城に君臨していた時分、駿府城内で出火が起こり城の一部が焼失するという事件が起こります。原因は、大阪方の間者の放火説もありますが、やはり煙草の火の不始末だったようです。根拠は、怒った家康が禁煙令を出したからです。

 さてこの禁煙令。最初の禁煙令が出されたのが慶長14年(1609年)で、その後元和9年(1623年)までかなりの頻度で禁煙令どころか煙草の葉の栽培禁止まで出されています。理由は、火事の防止のほかにも奢侈禁止、たばこ栽培農家の増加でコメの生産高に影響が及ぶことを防止するためや、反社会勢力がトレードマークにしていたので、それを取り締まるためだったようです。

 この禁煙令は財産没収などのペナルティが課されたものの、ほとんど効果は無かったようです。町民だけならまだしも武家も好んでプカプカ吸っていたようですし。

 結局は、寛永から慶安にかけて、喫煙が許可されていきます。そうなると各藩は雲上金、いわゆる税金を課していきました。

 こうみてくると、やはり煙草は常習性のある嗜好品ですね。

 最後になりますが、ワインとタバコは相性が悪いです。タバコの匂いはワインの香りの邪魔にしかならないのです。

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