ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ヴァラエタルワイン

    ヴァラエタルワイン Varietal Wineという言葉をご存知でしょうか。単一品種のワインのことを指して言う言葉です。ワインのラベルにPinot NoirやChardonnay など葡萄の品種が書かれているワインのことです。ワインのニューワールドと呼ばれるアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、アルゼンチンなどのワインは、このヴァラエタルワインが多いようです。フランスやイタリアなどオールドワールド圏の国々ではラベルには土地名を書きますが、葡萄の品種はあまり書かないようです。

    ワイン伝統の国フランスでは、AOCがあるので、土地と製法がAOCにより決まっています。AOCとは、Appellation d'Origine Controlee の略称で、原産地呼称のことです。フランスワインでAOCの表記があると、このワインは確かにこの地域の葡萄と製法で生産されたものですよ、というお墨付きのようなものです。

    これにより土地名がわかれば葡萄の種類が自動的にわかるわけなんです。まあ、土地名から葡萄の種類を知るためには、私達の知識が必要となってしまいます。例えばジュブレシャンベルタンとラベルにはありますが、ピノノワール とはラベルのどこにも書かれていません。AOCブルゴーニュの赤ワインは全てピノノワール になるからです。まあこういったことをフランス人は常識的にきっと知っているんでしょうね。消費者にとっては不親切な気もしますね。

    消費者にとって不親切だと、カリフォルニアのワイン醸造者もきっと思ったんでしょう。カリフォルニアワインは、ラベルにカベルネソービニヨンやシャルドネなど葡萄の種類を書くようになりました。

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    これはカリフォルニアのHahnワイナリーのピノノワールなんですが、ちゃんとPinot Noirとラベルにあります。

    このラベルに葡萄の品種を書くスタイルをヴァラエタルワインと呼ぶようになりました。これはやはり消費者には親切なので、消費者に受けたようです。ワインのニューワールドはもちろん、フランスでも南仏を中心にヴァラエタルワインが広がってきています。フランスでは、セパージュワインと言います。アルザスワインは葡萄の品種を書いてあることが多いですしね。 

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アルザスワイン、多分AOCではないと思いますが、Pinot Noirと書いてあります。

    伝統的なワインの産地は、多くはいまだにラベルには葡萄の品種は書いていません。ただ少しずつ変わってはきているようです。ボルドーワインでも、カベルネソービニヨン何パーセント、メルロー 何パーセント、カベルネフラン何パーセントと書いてあるものもあります。オールドワールドの伝統的な地域においては、消費者志向と伝統の狭間にヴァラエタルワインはあるのかもしれません。

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Gevrey Chambertin