ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

AVAとAOC

    アメリカのワイン産地には、AVAという認定制度があります。AVAとは、American Viticultural Areaの略で、アメリカ合衆国政府の認定した葡萄の栽培地域です。一種の原産地呼称でアメリカ合衆国財務省の税金と通商部門の規制になります。これがアメリカワイン法やAVA規定と呼ばれているものです。このAVAにより規制されるのは、産地、葡萄の品種と収穫年度になります。現在では全米で242のAVAが存在しているようです。こういうAVAの地域で栽培した葡萄で造ったワインだよ、とラベルに書いて良いわけです。

    ワインの伝統国フランスには、AOCという原産地呼称統制があります。アメリカのAVAがフランスのAOCと異なるのは、AOCは、産地、葡萄の品種、収穫年度に加えて、使用できるワインの品種、葡萄の栽培方法、醸造方法などの規制がある点です。したがって、アメリカでは、自由に造りたい葡萄の品種を好きな栽培方法で栽培して、好きな醸造法でワインが造れることになります。これがワイン醸造家にとっては魅力的なんだそうです。フランスのワイン醸造家がナパバレーでワインを造っているなんて話を聞きますよね。

    ヨーロッパは、ご存知のようにEUという括りがあります。EUでは、AOPとIGPという原産地呼称の規制をしています。EUの規制は、加盟各国の法律に優先されるので、EU加盟各国は、EUの規制に沿った法律を制定しています。例えば、イタリアの場合、DOCやIGTという規制があります。DOCがAOPにあたり、IGTがIGTにあたります。

    アメリカのAVAに話しをもどします。アメリカのラベルの原産地表記は、最低85%は、そのAVAの産地で栽培された葡萄を使用していなくてはなりません。AVAに関してちょっと面白いのがその大きさです。AVAにより面積はまちまちなんです。AVAに指定された地域の面積は、色々な大きさがあります。巨大なAVAは、4つの州にまたがった19百万エーカーもあります。逆に小さなAVAは、60エーカーのものがカリフォルニア州にあります。

    今では200以上あるAVAですが、最初に認定されたのはどこでしょう?ナパバレーじゃないかと思いきや、1番目はミズーリ州のオーガスタで1980年6月20日でした。2番目が皆さまご存知のソノマバレーで、1981年の認定でした。

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    2018年の第115回のアメリカ合衆国の議会で、AVAはアメリカ経済に貢献していると認められました。私達消費者は、ラベルのAVAを見ることで、あぁ、このワインはこの土地の葡萄でいつ収穫されたものか知ることができます。その土地に想いを馳せながら飲むのも一興だと思います。