ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ワイン用葡萄 垣根仕立てと棚仕立て

    海外のワイナリーに遊びがてらテイスティングに行くと、栽培中の葡萄の畑を見ることがあります。ほとんどの場合、葡萄の木は、多少変則ですが下の写真のように ”T” 字の恰好をしています。この”T"字の栽培方式を「垣根仕立て」と言います。ナパ、ワシントン州オレゴン州ブルゴーニュボルドーなどでも、この垣根仕立てです。

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    数年前に、日本のワイン造りで有名な山梨県勝沼に行く機会がありました。その時、葡萄は棚で栽培をされていました。この棚で葡萄を栽培するやり方を「棚仕立て」というのですが、勝沼の葡萄栽培は、伝統的に棚仕立てで行われているようです。最近は、グレイスワインなど垣根仕立てを取り入れるワイナリーも増えてきているそうです。ちなみにグレイスワインの甲州は、私が日本で今のところ一番美味しいと思うワインの代表選手です。勝沼以外でもイタリアでは、ペルゴラと呼ばれる棚仕立てでワイン用の葡萄を栽培しているワイナリーもあるそうです。

    垣根仕立てには、ギヨ(長梢)だとかコルドン(短梢)など方式が複数あるのですが、専門的になり過ぎるのでここでの説明は省きます。

    それでは、垣根仕立てと棚仕立てのどちらが良いのでしょうか。ワイン醸造用の葡萄の栽培で、一般的なのは垣根仕立てです。これは多くのワインの産地で垣根仕立てが見られる通りです。栽培のマネージは難しいが、一樹あたりの葡萄の収穫量を制限できるので、葡萄一粒一粒の凝縮度を高めることができるわけです。棚仕立ては、生食用の葡萄では一般的ですね。また、葡萄栽培の管理は垣根仕立てに比べて簡単にはなるようです。世界のワイン醸造用の葡萄栽培の主流は、垣根仕立てですので、私個人は垣根仕立てに利があるように思います。