ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

カスタムクラッシュワイナリー

    醸造家(じょうぞうか)とは、発酵作用を利用して主に酒などを生産する人の職業名。職人あるいは製造技術者。(ウィキペディアより)

    前回のブログで北海道の10Rワイナリーがワインの醸造を請け負っていると書きました。この醸造のみを行うことを、「カスタムクラッシュ」ないしは「カスタムクラッシュワイナリー」と呼ぶんですが、アメリカのナパバレーで近年盛んになってきています。葡萄農園側からみると、これまで小さな葡萄農園はワインの醸造施設に投資をすることができなかった為、自分達が育てた葡萄を自分達でワインにすることができませんでした。また売れ残った少量の葡萄もワインにはなりませんでした。カスタムクラッシュを利用することで、小さい葡萄農園もワイン造りが可能になりました。これがカスタムクラッシュが年々増えてきている理由だといいます。もちろん委託をする葡萄農園と受託するカスタムクラッシュワイナリーは、どんなワインを造るのか、密にコミュニケーションをとっています。醸造家に先立って、カスタムクラッシュワイナリーについて簡単に説明しましたが、ご理解頂けたでしょうか。

    このカスタムクラッシュワイナリーを日本に持ち込んだのが、10Rワイナリーのブルース・ガットラヴさんと言われています。

    カスタムクラッシュワイナリーは、ワインの醸造が主体、本質的に醸造家です。日本酒の場合は「杜氏」になりますね。f:id:nwawinescom:20190922200707j:imageLodi City Winer HPより

    英和辞典で醸造や醸造家をひくと、BreweringやBrewerが出てきますが、なんかビールっぽくてワイン醸造にはそぐわない感じがします。英語的にはWine Brewringで通じるんですが。もう少し調べてみると、ワイン醸造やワイン醸造家が出てくる文章では、VintnerやWine  Makerが使われています。

    いくつかのカスタムクラッシュワイナリーのホームページをチェックすると、Full custom Crush ServicesやFrom Grape to Bottleという言葉が並んでいます。ビジネスのターゲットとしては、小さな葡萄農園にフォーカスしているカスタムクラッシュワイナリーや大きさにはさほどこだわっていないものもあります。ワイナリーのスタートアップ支援をしているところもあるようです。なかなかダイナミックがアメリカのビジネスを感じます。

    ほとんどのカスタムクラッシュワイナリーが強調している点は、プロフェッショナルな醸造施設と熟練した醸造家の存在です。当たり前っちゃ当たり前なんですが、この二つがカスタムクラッシュワイナリーのキーなんですね。

    カスタムクラッシュサービスは、今後ビジネスとして伸びる可能性が高いと考えます。特に、葡萄の作付け面積が狭い日本には向いていると思います。ビジネスとしても面白そうです。

近い将来、醸造家という職業がカッコいい時代になると良いですね。