ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ブルゴーニュから函館へ 地球温暖化

    一昨日、NHKおはよう日本で、ブルゴーニュにある創業300年の名門ワイナリーの当主、エティエンヌ・ド・モンティーユ Étienne de Montille さんが函館で4年後の収穫を目指してピノノワールの栽培をスタートしたと報道されました。

     地球温暖化がその理由。昨年アルザスに行った折に、温暖化により造れる葡萄の品種が変化してきていると聞きました。いわゆる葡萄の産地の北上現象が起きているようです。ピノ・ノワールの栽培に適した平均気温は、14~16度。それより暑いと実が早く熟し過ぎたり、枯れたり、しおれたりします。アメリカ西海岸ではワシントン州ではピノノワールはほとんど造られておらず、ピノノワールの銘醸地はオレゴン州なのもこの理由です。ワシントン州はピノノワールには暑すぎなんです。

    ブルゴーニュでは年々、気温が上昇してえおり、原因は地球温暖化です。エティエンヌさんによると、ワインの味に影響が出るのも時間の問題とのことです。

    エティエンヌさんのワイナリーは、ヴォーヌ・ロマネ村にあるDomaine de Montille。一本数万円の高級ワインの造り手です。

f:id:nwawinescom:20190919233159j:imageLUC Corporation HPより

    おはよう日本によると、エティエンヌさんは、
「(気温が上がると)アルコール度数が高まって酸味が減り、重い味になります。ピノノワールにある独特のさわやかさは、無くなってしまうでしょう。温暖化のインパクトは、私たちの予想を超えるスピードで襲ってくるかもしれません。」と危機感を持っています。

    そこでエティエンヌさんは世界各地の気温、降水量、土壌などを徹底的に調査しました。その結果、もっとも多くの項目で高い評価だったのが20年ほど前から本格的にワインづくりを始めた北海道でした。エティエンヌさんは、10年ほど前から北海道に移り住んでワインをつくっているアメリカ人の醸造家を訪ね、2018年に収穫されたピノノワールを使い、2人でワインをつくってみました。結果、北海道のピノノワール ならではの優雅なものだったそうです。う〜ん、飲んでみたい。

    エティエンヌさんは、70人を超える地元生産者を招いてセミナーを開催しました。講師はフランスから呼び寄せた世界的な土壌学者で、ブドウづくりに必要な土壌管理のノウハウを伝えました。

    エティエンヌさんは、北海道はピノノワールの銘醸地になる可能性があると言っており、地元生産者とともに、北海道をワインの世界的な産地にするべく進んで行きたいと語っています。

    ワインの試行錯誤が難しいのは、膨大な時間がかかることです。葡萄は年に一回しか収穫できないのです。それでも近い将来、北海道が世界的なワインの銘醸地になる夢が現実になることを祈ります。

    余談ですが、エティエンヌさんが訪れたアメリカ人醸造家は、多分10R(とある)ワイナリーのブルース・ガットラヴさんだと思います。