ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ローヌとローヌシラー

 シラーというワイン用の葡萄の品種がありますよね。このシラー、けっこう世界の色んな地域で造られています。フランスのラングドック、ナパバレー、ワシントン州。そうそうオーストラリアを忘れてはいけませんね。シラーズです。

 シラーの故郷は、ワインの銘醸地として名高いフランスのローヌ地方・ローヌ渓谷です。ローヌ川に沿って両岸に産地が分布しています。北はヴィエンヌから南はニームまでの、なんと南北250kmの広〜いというか長〜い産地です。このローヌ渓谷は、ミストラルという名前の強風が吹くことでも有名です。

 この250kmにわたる地域が産地区分として、北部ローヌと南部ローヌの二つに分けられています。北部ローヌは、ヴィエンヌからヴァランスまでで、穏やかな半大陸性気候。南部は、モンテリマールから南で、地中海性気候になります。

 北部ローヌの主な黒ぶどうがシラー。北部ローヌのAOCの赤ワイン品種は、シラーです。20%までの混醸を認めているAOCもあります。ちなみに白ワインは、ヴィオニエ、マルサンヌやルーサンヌになります。

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AOC Saint-Josephの赤ワイン

ローヌのAOC

北部ローヌ右岸 7つのAOC、代表的なAOCは、

 Cote-Rotie コートロティ 赤ワインのみ

 Condrieu コンドリュー 白ワインのみ

 Saint-Joseph サンジョセフ 赤白

北部ローヌ左岸は、6つのAOCで、有名なエルミタージュがあります。

南部ローヌは、17のAOCで、ジゴンダスあたりが日本では有名ですね。南部ローヌの赤ワインは、グルナッシュが主になります。白は、クレレットやブールブーラン。

 

ローヌシラーと新世界のシラー

 ローヌ以外のシラーと言えば、アメリカ西海岸、オーストラリアなどの新世界が有名だと思います。これらの新世界のシラー(シラーズ)は、濃い赤ワインでフルボディです。一方、ローヌシラーは、濃い赤ワインのカテゴリーに入るんですが、新世界のシラーほど濃くはないんですね。

 テロワールが異なっても、葡萄が同じなので、ベースにある香りやテイストは、当たり前ですが、やはりシラーのもの。ただ普段から新世界のシラーを飲んでいると、ローヌシラーは、直ちにシラーとは認識できない場合があります。

 なので、ローヌシラーは何本か飲まないと、香りと味の特定ができずに、テイスティングが難しいことになります。

 地域、土壌、天候、気温などによって、ワインの外観、香りや味わいが異なるわけですが、これもワインを飲む楽しみのひとつですね。新世界のシラーやオーストラリアのシラーズを飲みつけていれば、ぜひ一度、ローヌシラーを飲んでみてください。新しい発見があるかもです。

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