パリスの審判
パリスの審判と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょう?
ギリシャ神話という方もいらっしゃれば、カリフォルニアワインにフランスワインが敗北したワインテイスティングを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。
何事にもオリジナルを大切にする私は、まずギリシャ神話のパリスの審判を説明しちゃいます。ギリシャ神話のパリスの審判は、格好の絵画のモチーフらしく多くの有名画家がパリスの審判という題名の絵画を残しています。中でもルーベンスのものが超有名ですね。
ギリシャ神話のパリスの審判は、簡単に言うと三人の女神のうち誰が一番綺麗かを羊飼いをしていたパリス君に決めさせようという話です。三人の女神とは、ヘーラー、アテーナー、アフロディーテー。事の始まりは、不和は結婚パーティーにはチョット不向きということで、神々の結婚パーティーに一人だけ呼ばれなかった不和の女神エリスが激怒して、「最も美しい女神へ」と書かれた黄金のリンゴをパーティー会場に投げ込んだことです。そこで、この三女神が「それは私でしょう」と出てきて、収拾がつかなくなったのでゼウスの一声でパリスの審判になったんです。ここで疑問は、なんでいっかいの羊飼いが審判なのかですよ。ふつうは有り得ないでしょう。別に職業の貴賎を申しているわけではなく、王様とか王子様とか投票になると思うんですが、そこはギリシャ神話、うまく作ってあります。実はパリス君、誕生の時にいろいろあって捨てられた王家の若君だったんですね。なんつーか、面白くもなんともない、うまくできすぎた話ですなぁ。
三女神さんは、パリスに賄賂を贈るわけですよ。ヘーラーは、アシアの君主の座。アテーナーは、戦いの勝利。アフロディーテーは、最も美しい女。ようするにどの女神が美しいかではなく、どの賄賂が良いかにすり替わっています。結局パリスは、アフロディーテーを選びました。やっぱり美女かよ。この時、パリスには奥さんがいたんですよ、ちゃんと。これが後のトロイア戦争につながるって言うんですから何とも。さすがギリシャ神話! ですね。
このパリスの審判になぞらえたのが、1976年5月24日にパリのインターコンチネンタルホテルで行われたカリフォルニアワイン対フランスワインのテイスティング。審判は全員ワインのプロのフランス人というフランス人らしいこすっからさで満杯のブラインドテイスティングでした。結果は赤白ともにカリフォルニアワインが一位でした。この結果に、フランス人らしくイチャモンをつけるんです。いわく、フランスワインは飲み頃ではなかった。今から考えると笑えますが、フランスは真剣だったと思います。だって、経済や産業では既にアメリカには遠く及ばないわけですから、文化のシンボル的なワインで負けるわけにはいかないでしょ。
リターンマッチは、フランスワインの代表と思われていたボルドーが熟成を迎える10年後と30年後に行われましたが、これもカリフォルニアワインの勝利でした。
ここで言える事実は、
ワインは嗜好品。テイスティングで順位を付ける必要があるのかどうか。
ワインのニューワールドで比較的歴史のあるカリフォルニアでも、世界的に有名になってまだ40年。
驕れる平家は久からず。
ですかね。
現在では、ニューワールドのワインは品質も良くコスパも高いので、私達のデイリーワインではお馴染みです。フランスワインも、パリスの審判でダメになったわけでもなく、相変わらず高い人気があります。なので、ワインの価格を決めると言われるワインのコンペティションて、「どうよ」ですねー。