ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

ワインにはまった30年の2

 パリに暮らしたことがある。IT関連のプロジェクトに参加をしたため1993年から2年間、昔あった日航ホテル近くのアパルトマンに住んだ。そこからラデファンスという隣町的な新興エリアにあるオフィスまで通勤していた。まだ30代前半と年も若く元気だった時代。

 プロジェクトがスタートし、スタッフ間の親睦を深める意味で食事会が、確かミシュラン一つ星のフランス料理屋で開かれ参加した。スタッフは、8割がフランス人。私が日本人1人で、他にオーストラリア人、カナダ人、アメリカ人、オランダ人が数人ずついた。総勢30数名だったと記憶している。

 時刻が夜8時になり、数人ずつテーブルに分かれて座る。私は4人の席で、私以外はフランス人だった。彼らのうち2人とは今でも友達付き合いをしている。フランスでフランス人が多いのだから、会話は当然フランス語となる。だがちょっと複雑な話になると、ついていけない私の為に英語でフォローを入れてくれる。ありがたかったですよ。さかのぼること4年前の1989年から2年間、私はアメリカの大学院に留学をしていたので英語はなんとかなったからだ。

 初めて社会人のフランス人主体の食事会に参加したのだが、驚いたことがいくつかあった。

 まず、酒はキッチリたくさん飲むということ。シャンパンに始まり、白ワイン、赤ワイン、食後酒といく。4人のテーブルで、シャンパンはグラス一杯だが、ワインは白赤2本ずつだった。食後酒は自分が好きなものをグラスで頼んだ。ワインの選び方は、常識的な金額のものを選ぶべく、数人で食事の内容を考えて合わせるワインについて楽しそうにワイワイと喋る。私は当時そこまでワインには詳しくなかったので彼らに任せていたら、突然「こういう銘柄になったが、それはこれこれこういう理由だ。君はそれで良いか?」と聞いてきたので、「いいんじゃねぇ。」と言ったら、皆納得してワインのオーダーをした。一応、参加者全員の了解は取りたいらしかった。食事はワインを選ぶ前に、各自頼んでいる。

 ワインが来ると、クロードという一番年嵩の男がテイスティングをしやはり蘊蓄をたれた。ファビエンヌという姉ちゃんが「んなこと、どーでもいいじゃん」的なことを言いソムリエに早くつげみたいなことを言って、乾杯になった。ファビエンヌというのは、今はもうおばちゃんだが、大層なオシャレでまだまだ美人だ。若い頃は、それはそれは綺麗だったので、男どもは言うことを絶対に聞いてしまう。ついでに言うと、もう1人はアランと言うニイちゃんで私と同い年。このアランとファビエンヌとは、今でもパリに行くと必ずと言って良いほど一緒に飯を食っている。クロードは残念ながら数年前に死んでしまった。この2人が東京に来ると、純米大吟醸を飲ませろとめんどくさいことを言う。

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 この時のワインなんですが、白はアルザスリースリングとブルゴーニュ。赤ワインは二本ともブルゴーニュだったと、この頃の日記にある。ちなみに写真はブルゴーニュの赤で数年前のもの。1993年にインスタグラムは無いのでワインや食事の写真は撮っていない。この時ブルゴーニュの白や赤の葡萄の品種を彼らに聞いたら笑われた。皆さま、やはりワインの知識は必要です。いわゆるAOCブルゴーニュの話です。

どう笑われたかについては、次回で!