樽熟成についてまとめてみた
フレンチオーク樽で24ヶ月熟成とかワインの説明書(データシートとかテクニカルシートと言います)に書かれているのを見かけます。当然ワインは時間をかけて熟成させますよね。だからなんとなく熟成のことを言っているんじゃないかと想像できると思います。確かにワイン造りのプロセスでは、発酵が終わると育成や熟成と呼ばれるプロセスに入ります。育成や熟成のことをフランス語ではElevage エルバージュと言いますが、発酵が終わったワインをステンレスタンクや木樽に移し替えて、ある一定の期間静かにしておくわけです。こうすることで、ワインのバランスが良くなり風味も上がります。
ほとんどの赤ワインとシャルドネなど一部の白ワインは、木の樽に入れて熟成をさせます。シャルドネ以外の多くの白ワインはステンレスタンクでの熟成が多いようです。
木樽熟成の目的は、以下の通りになっています。
味わい、風味の複雑化
酸素と接触させる
清澄化を促進する
樽からのタンニンなどの成分を抽出する
フェノール成分の重合による沈殿
赤ワインの場合は、色調の安定化
2つのオーク材
木樽には、一般的にオーク材を使います。このオーク材、大きく分けて2種類になります。フレンチオークとアメリカンオーク。フレンチオークは、セシルオークとペドンキュラーダオークが主です。アメリカンオークは、アメリカンホワイトオークになります。
この2つのオーク材は、木の取り方が異なります。フレンチオークは柾目取り。アメリカンオークは板目取り。当然、柾目取りの方が高価になります。高級ワインの多くは、フレンチオークを使用しているようです。
フレンチオーク材の樽は、タンニン多め、ヴァニラ香やココナッツ香は控えめになります。
アメリカンオーク材の樽は、タンニン少なめ、ヴァニラ香やココナッツ香は強めになります。
オーク材のトースト
オーク材の樽は、樽に成型する時に、火入れと言って、樽の中側を火で焼きます。トーストと呼ばれています。このトーストの程度によってワインに移る風味が異なってきます。
ロースト ロースト香 タンニン抽出 樽へのワインの染み込み
ライト 弱. 多 多
ミディアム 中 中 中
ヘヴィ 強 少 少
バリック(Barrique)とピエス(Piece)
バリックもピエスも樽のことです。バリックはボルドーで使われて、容量は225リットル。ピエスはブルゴーニュで使われていて、容量は228リットルになります。バリック4個分をトノー(Tonneau)と言い、900リットルになりますが、これがワインの取引の単位として使われました。
新樽比率
樽熟成の最後は、新樽比率です。樽が新しいほどタンニンなどの成分がより多く抽出され、結果、ワインへの影響が大きくなります。新樽比率が高ければ、長期熟成もできるんですが、問題となるのが葡萄の品種なんです。葡萄の品種による果実味の強弱があるんですね。カベルネソービニヨンやメルローなどは果実味が強いので、新樽比率が高くても大丈夫なんですが、ピノノワールは繊細。下手を打つとオーク樽の香が強くなりすぎてしまいます。うまくバランスを取る必要があります。
ワインのテクニカルと呼ばれる説明書の、新樽比率30%のフレンチオーク樽で24ヶ月という表現が理解できそうでしょうか。