ワインと食、そして旅 -WINE, DINE & TRAVEL PILOT

ワインエバンジェリストによるワインと食と旅のブログ

人生は幻というけれど

 古来から人間の仕事には、成功や失敗がつきもののようで、一喜一憂しますよね。出世、降格、栄転、左遷。長い人生色々とあります。

 唐代中期の詩人に白居易という人がいます。字が楽天なので、白楽天という名前でも有名な方です。白居易は詩人で有名ですが、同時に政府の役人でもありました。鄭州、現代の鄭州市に生まれ、29歳で科挙の進士に合格。その後、書判抜萃科に合格して、晴れて秘書省校書郎という役人になりました。彼は、努力と勉強をし続けて、出世していき、盩厔(ちゅうちつ)県尉、翰林学士、左拾遺を歴任します。エリートだと思いますよ。エリートですけれど、詩人としても優れていて、806年に七言古詩120句の長編歌行「長恨歌」を作りました。長恨歌、超有名です。白居易にとっての詩作は、仕事とはまた別の、一生をかけてやるべきことだったのでしょう。

 白居易の生まれは西暦で言うと772年、役人になったのが803年のことなので、日本では、桓武天皇が即位し、長岡京を経て平安京に遷都がされて、空海や最澄が入唐(804)した頃ですね。ひょっとして、空海や最澄が白居易に唐のどこかで会っていたり、すれ違っていたりしたかも。

 白居易は、お母様がお亡くなりになり、官を辞します。3年間、無位無冠だったそうです。仕事より家族なんですね。その後復帰しましたが、上書で越権とみなされる行為によって、左遷になりました。

その時に詠んだ詩が、

 泰山不要欺毫末,顏子無心羨老彭
 松樹千年終是朽,槿花一日自為榮
 何須戀世常憂死,亦莫嫌身漫厭生
 生去死來都是幻,幻人哀樂系何情

ここが今日このブログで言いたいことなんです。

簡単に訳すと、

 デッカい泰山は、決して小さなものをバカにしないし、顔回は、はやく死んだからといって、長生きした彭を羨まない

 松の寿命は千年というが、いつかは朽ち果てる、槿花の命はわずか1日だが、美しい花を咲かす

 生きることに執着して死ぬことを怖がるのはバカみたいだ、自分自身をダメで役に立たないと思って、人生を投げ出すのもバカだ

 この世に生まれたのも、死んでこの世を去るのも、幻よ幻

 人生は幻なんだから、生や死、喜びや悲しみ、成功や失敗なんてものにこだわる必要はないんだ。

意訳すると、

 デッカくとも小さくともちゃんと価値がある

 長生きでも早死にでも、人それぞれ

 この世や人生は幻

 幻なんだから、失敗したっていいじゃないか

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出典 白楽天・『晩笑堂竹荘畫傳』より

 白居易は、左遷という逆境を、どうせ幻だし、くよくよしても始まらないしと、気持ちを切り替えたようです。後に、中央へ復帰して、望んで地方官なども歴任し、71歳で退官しました。退官後、詩文集の「白氏文集」を完成させ、75歳でお亡くなりになりました。

 

 人生には色々なことがあるのだし、幻のようなものなので、不必要に一喜一憂せずに、淡々と生きていくことが大事なんだと、私は理解しています。

 また、仕事、家族、一生かけてやること(白居易の場合は詩)を、バランスをとってやり抜く努力が必要です。現代のワークライフバランスですね。この点、白居易は、人生その時々で強弱はあるものの、見事にバランスを取って生き抜いています。

後醍醐天皇と吉野神宮

  タイムマシンで過去に戻れるとしたら、どなたに会いたいですか?

 私は、持統天皇と後醍醐天皇にお会いしたい。尊敬するとともに、たいへん恐縮ですが、好きなお二人です。身分が違いますので、タイムマシンで過去に行けたとしても、お会いするのは、まあ無理ですよね。

 タイムマシンはありませんが、御祭神として祭られています神社には参拝できます。吉野神宮の御祭神は、後醍醐天皇です。今回、はじめて吉野神宮に参拝させて頂きました。

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狛犬様は、天に向かっています。

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拝殿があり、奥に幣殿があります。そのまた奥が本殿です。

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 吉野神宮は、明治時代、後醍醐天皇の御偉業を深くお偲びになられた明治天皇により建立されました。明治天皇は、明治22年吉野神宮の御創立を仰せだされ、明治25年に執り行われた御鎮座際に勅使を遣わされ御霊代を御奉納されました。また、後村上天皇がお作りになられたと伝えられ、それまで吉水神社(明治7年までは吉水院・南朝の行宮)に奉安されていた後醍醐天皇の御尊像も吉野神宮の本殿に奉還されました。

 境内に、御神木の桜がたっています。紅枝垂れ桜です。とでも美しいですよ。

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 今回は、東宮司とたまたまお話しができ、後醍醐天皇の国を憂い、民を慈しむ心など、お話を伺うことができました。ご縁に感謝です。

大神神社- 若宮神幸祭

 奈良の大神神社は、崇敬神社として折に触れ、参拝させて頂いています。

 4月9日、午前に春の大神祭、午後に若宮神幸祭がありました。私は、時間の関係で若宮神幸祭だけ参加というか見物させて頂きました。感謝です。

 若宮神幸祭は、本来ならば、下の写真の神輿が出て、三輪の街中を練り歩き、晴れやかに行われるそうですが、今年はひかえられて神職の方々だけの簡略版での行事でした。

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 境内で待つことしばし、時間になると、古代の衣装に身を包んだ若宮から神職の方々が来られました。大神様にご挨拶をなされ、お帰りになられます。

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 風が吹き、清々しい気に包まれました。神職の方々がお帰りになられるのを、お見送りをすることができました。

 いっとき、古代の息吹に触れたような気持ちがしました。不思議なもので、気分も冴えて、身体も軽くなったような気がしました。

 良い経験を致しました。

いちご狩りは楽しい!

 歩くとタッポンタッポンとお腹の中で音が。これ、いちごの果汁の音なんです。いちご狩りで、30分間、あすかルビーという品種のいちごをひたすらに食べまくりました。70個ぐらいまではカウントしていたんですが、その後はカウントを忘れました。おそらく100以上食べたと思います。いちごも100個となると、その果汁はすさまじく、お腹でタッポンタッポンになるわけです。当然、胃も重くなります。

 一昨年までは、たまに三浦半島にいちご狩りに行っていたんですが、昨年は緊急事態宣言もあり、行けませんでした。

 今年は、たまたま奈良に来ていましたので、明日香村にあるあすかいちご狩りパークに行ってみました。

 あすかいちご狩りパークは、事前に電話で予約をします。予約時に、いちご狩りをする農園とビニールハウスの番号、住所を知らせてくれますので、予約時間に行きます。

 ビニールハウスの入り口で、検温、アルコール消毒をして中へ。料金を支払い、ハサミとへた入れのビニール袋を取ると、

私達(2人)の狩れるいちごの畝に案内されます。

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 両側が私達にあてがわれたいちごを狩れる畝です。

可憐ないちごもあれば、「オオッ、デカい。」といういちごもあります。品種は、あすかルビー。あすかルビーは、香り高く美味しい、奈良県のブランドいちごです。

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上の写真のいちごは、小さいほうです。

いちごの花も可愛いらしいですね。

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 何十個と食べ続けていると、見ただけで、『これ美味しいやつ』とわかるようになるので不思議ですねぇ。

 いちご狩りは、いい歳したおじさんにも嬉しい春の楽しいイベントです。

吉野山の白山桜

 「敷島の大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山ざくら花」

 本居宣長さんが、ご自身の心の変化について述べた歌なんですが、この山ざくら花は、吉野山の白山桜だそうです。山ざくらを見て、『あぁ、美しいな。』と思い感動できる心の持ち主でありたい、宣長さんご自身のこころを詠んだ歌です。

 山ざくらと言えば、奈良の吉野山です。宣長さんも訪れたことがあったようです。以前から、吉野山の桜は見たいと思っていたのですが、多少遠いので、桜の満開の時期に合わせるのが難しく、なかなか行けませんでした。

 今年、たまたま用事があり、奈良市まで行きましたので、思い切って吉野山に行って来ました。

 吉野山は、その高度により、下から下千本、中千本、上千本、奥千本と呼ばれています。今年は開花が早く、下千本と中千本の満開が3月30日。上千本が4月3日でしたので、今日、4月7日は、だいぶ散っていました。さすがに奥千本は、まだ大丈夫でした。人混みを避ける為、朝早く訪れたので、霧がかかっており、それはそれで、幻想的な雰囲気で良かったですよ。

 奥千本は、金峯神社を目指して行きました。金峯神社の御神体は、吉野山です。下の写真の鳥居から金峯神社の本宮まで登って行く途中も桜を見ることができます。

 

金峯神社の鳥居と山ざくら

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霧の中の桜

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霧が少し晴れました

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アップで

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下山途中にある吉野水分神社

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 やはり吉野山の桜は、可憐で美しい。日本人で良かったと思える刻を過ごせます。

 桜の時期に、吉野山に行かれる場合、朝7時には金峯神社に着けるように行動されることをおすすめします。午前9時になると、交通規制が行われて、車で上がることが難しくなるようですし、人で混雑もしてきますので。

伏見稲荷大社にたどりつけない?

 世の御多分に洩れず、勤め人である私は、会計年度末のゴタゴタに巻き込まれて、ブログの更新もできず、ゆっくり落ち着いてワインを飲むこともかなわず、バタバタと3月が過ぎて行きました。

 4月に入り、ようやく落ち着いて来たところで、外せない用事があり奈良へ。今回は用事とは別に、かねてよりお参りしたかった伏見稲荷大社へ行こうと考えていたので、朝イチの新幹線で京都へ。京都駅でレンタカーを借りて、一路、伏見稲荷大社へ向かいました。伏見までは3キロぐらいなので、あっという間に着くはずだったんですが、、、

 うーむ、ナビに従っても伏見稲荷の駐車場にたどり着けない。なんかグルグルまわっているなぁ。ちょっと焦る。

 心を静めて、『お参りさせて頂けるのなら、着かせてください。』と心の中でお願いしてみたところ、なんとスンナリと着けました。単に私とナビがちょっとおバカなだけで、特にスピリチュアルな話では無いのですが、神様を前にした時の謙虚さや敬虔さが重要だと感じました。

 駐車場の誘導係の方々に、丁寧に誘導頂き、車をとめてお参りに。

 

春の良き日の楼門

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狛狐様

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 伏見稲荷大社は、全国に30000社あると言われます、お稲荷さんの総本宮なんですね。平日の午前中なので、混雑はしていません。

本宮にお参りして、千本鳥居を抜けて、奥宮へ。

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 伏見稲荷大社の信仰の原点は稲荷山。御祭神である稲荷大神様がこのお山に御鎮座されたのは、なんと1300年以上前の奈良時代。和銅4年(711)だそうです。

 伏見稲荷大社への稲荷詣では、清少納言の「枕草子」を始め、いくつかの古典にも登場しているので、確かに古い時代からあるんですね。

伏見稲荷大社ホームページ

http://inari.jp/

 伏見は、電車でも車でも京都駅から近いので、平日の朝にお参りするのも、また良いのではないかと思います。

キャンティとキャンティクラシコ

 今回は、キャンティというイタリアのトスカーナ州のワインの話なんですが、キャンティと名の付くワインは、キャンティとキャンティクラシコの2種類があって、今回、私がお伝えしたいことは、名前はキャンティと付いていますが、キャンティとキャンティクラシコは別物だということです。ワインとしての個人的なおススメは、キャンティクラシコになります。

 キャンティって、昔、日本ではイタリアワインの代名詞だった時代もあったようで、東京の六本木のはずれの飯倉片町にキャンティというちょっと有名なイタリアンレストランもあったりして、それなりに有名なワインです。

 キャンティは、イタリア、トスカーナ州で造られている赤ワイン。イタリアにはD.O.C.Gという統制保証付き原産地呼称ワインという、フランスでいうところのAOCと同じような品質等級分類がありまして、D.O.C.Gはイタリアワインのトップに位置します。このD.O.C.Gに認定されている地域は、キャンティとキャンティクラシコの2地域があるんです。つまりキャンティクラシコ地区とキャンティ地区は異なるわけです。

 もともとはキャンティのみだったんですが、このキャンティ地区は、ものスゴ〜ク広い地域で、玉石混交。安物から高品質なものまであり、値段の開きも大きい。(D.O.C.Gなのに)

 こういった状況に業をにやした33の生産者たちが自分たちのワインを守るべく、1924年に品質保護協会(キャンティ・クラシコ協会)を設立したのです。 この頃から、キャンティ・クラシコのシンボル「ガッロ・ネーロ(黒い雄鶏)」のマークが使われるようになったようです。

 この品質の高いキャンティワインを造っていたキャンティワインの老舗達は、「私達、厳しい基準でワイン造ってるんだから、一緒にしないで。」と言うことで、キャンティクラシコとして1996年に独立したんですね。D.O.C.Gキャンティクラシコは、より限定された地域です。

 こういった事情からもわかるように、高品質なのはキャンティクラシコ。キャンティも良いワインはあるんですが、何しろ色々あって、玉石混交の中から見分けるのは難しい。なので、キャンティクラシコを買った方が無難なんです。

 キャンティもキャンティクラシコも、ブドウの品種はサンジョベーゼが主体なのは同じなんですが、基準が違います。

キャンティ

サンジョベーゼが70~100%、補助品種は1品種15%まで、白ブドウも10%まで認められています。

 

キャンティクラシコ

サンジョベーゼが80~100%、補助品種は、国際品種のみで、20%まで認められています。サンジョベーゼの含有率だけではなく、キャンティクラシコの熟成期間は最短11か月の樽熟成などの規定もあり、また規定以外にも木樽の使用やトリアージュ(選果)など高品質のキャンティクラシコを造る努力や試みが行われています。キャンティクラシコの価格は、2千円台後半からになると思います。

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キャンティクラシコリゼルバ

上記の写真は、キャンティクラシコリゼルバなんですが、これは熟成期間が24か月の樽熟成となっており、より高い品質のワインです。価格は、少し高めで、だいたい3千円台からになると思います。

  

 キャンティクラシコもキャンティクラシコリゼルバも価格は少し高くなりますが、その価値はあると思いますので、おススメします。

奈良の酒

 ここのところ奈良に縁がありまして、それは神社のご縁だったりするのですが、当然、飲み食いも発生するわけで、地の飲み物と言うと、日本酒になります。

 奈良県は農業県で、野菜や果物が種類も多く、高品質のものが多い。道の駅ならぬ「まほろばキッチン」という農産物を中心にした一種のファーマーズマーケットに行くと、この時期(3月中旬)、実に多くの葉物野菜、実の野菜、きのこ類、イチゴやキウイ、柑橘系の果物などが置いてあり、『奈良は農業がさかんな地域なんだな。』と、実感できます。

 奈良の酒の話ですね。

奈良県には、奈良県酒造組合によりますと、28の蔵元があります。

奈良県酒造組合のHPはこちらです ☞ http://nara-sake.la.coocan.jp/kuramoto.html

 「奈良流は、古来より酒造り諸流の根源なり」

と言われています。日本清酒の発祥の地ですね。奈良の三輪の大神神社の酒に関する話を、私の以前のブログでアップしてありますので、よろしければご覧ください。

日本の酒の神様

https://nwawinescom.hatenablog.com/entry/2019/09/19/112002

 

 写真は、純米吟醸「三諸杉(みむろすぎ)」。三輪にあります今西酒造株式会社の純米吟醸酒。癖の無い美味しさで、食事とともに楽しめます。個人的には、水の美味さを感じ、とても好きな酒です。

今西酒造株式会社のHP☞ http://imanisisyuzou.shop-pro.jp/?mode=cate&csid=0&cbid=2442198

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 次は、「春鹿純米超辛口」。株式会社 今西清兵衛商店。淡麗辛口。スッキリと飲みやすい。美味しいです。

株式会社 今西清兵衛商店オンラインショップHP☞

https://www.harushika.com/fs/harushika/c/

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 まだまだ奈良には、美味しい酒や美味しい食べ物がありそうで、楽しみです。奈良の酒に出会うことがありましたら、是非飲んでみてください。私も、またご紹介したいと思います。

 

 せっかく頂いた奈良とのご縁、大切にしていきたいと思います。

吉野の山桜

 今年も桜の季節がやってきます。毎年、奈良の吉野に桜見物に行きたいと思うんですが、未だ果たせずです。吉野では、日本古来の白山桜を中心に約200種三万本の桜が見られるそうです。

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出典 

吉野町ホームページhttps://www.town.yoshino.nara.jp/kanko-event/sakura/yoshinoyama/

 

 東京はソメイヨシノという種類の桜がほとんどで、小林秀雄氏によりますと、このソメイヨシノ、明治になってひろまった新種だそうで、植木屋が育てやすかったことと明治政府の文部省が後押しして広まった最も低級なさくらだということです。つまり明治政府と植木屋がけったくして広めたということですね。明治という時代は、やはり色々と問題がありますね。


 本居宣長が歌った「敷島の大和心を人問わば 朝日に匂う山桜花」のさくらは山桜で、ソメイヨシノとは異なります。明治期の東京の人には、ソメイヨシノは俗悪な花ととらえていた方もいらっしゃったようです。本居宣長は、吉野を訪れています。

 

 吉野の桜の季節は、4月上旬から中旬。山下の下千本から中千本、そして上千本、奥千本へと山上に向けて開花していくようです。

 

吉野の桜と言えば、役小角、後醍醐天皇、西行、豊臣秀吉、松尾芭蕉、本居宣長などの方々が思い出されます。

 美しい桜を愛でながら、悠久に思いを馳せてみたいと、毎年この桜の季節になると思います。

 

吉野町ホームページ

https://www.town.yoshino.nara.jp/kanko-event/sakura/yoshinoyama/

吉野山観光協会

http://www.yoshinoyama-sakura.jp/sakura.php

人は同じように感じない 伝える技術 

 エバンジェリストやエバンジェリズムをご存知ですか?私が長年勤めてきましたアメリカ系外資のIT関連企業では、エバンジェリズムが重要とされています。

 エバンジェリストとは、もともとはキリスト教の伝道者を指す言葉なんですが、現代の米国のIT業界では、IT関連技術を社内外に普及させる人達の意味で使われています。

 新しい技術や新機能が割と速いテンポでリリースされるので、それをユーザーやマーケットに伝えることが製品を使って頂くキーの1つになるからです。この仕事を担うのが、エバンジェリストという職種の人達。このエバンジェリストは知識やスキルを他人に伝える能力が必要になります。


 知識やスキルがあることと、それを他人に教える、伝える能力は全く別物だ、が今回言いたい事なんですが、例をあげると、Excelを使うスキルは高いんだけれど、そのスキルを他人に伝えるのが下手っぴ、でうまく伝わらない場合がありますよね。


 何かを教わる場合、こういう伝え下手や教え下手な人達に出会うと最悪でして、大概論点がズレて、知りたいことはそこじゃないんだよねということがおうおうにして起きます。こういう人達は、ほぼ自分の知識やスキルのみをベースに物事を考えるようで、それを知りたい人達の立場では考えません。つまり自分と同じ能力や理解力があると思っているんですね。

 

 以前に、とあるハンズオントレーニングに出て、こういう人達に遭遇してしまいました。まあ時間の無駄をしたんです。説明下手。内容のレベルが中途半端。ハンズオンと言っておいて、オーディエンスがついてきているかをまるで考えないで、講師が勝手に進める。などなど。一言で言えば、開催者のただの自己満足です。有料無料に関わらず、時間の無駄が一番痛い。他人の時間を尊重して欲しいと思います。

 ビジネスで、私は講師をすることがよくあるんですが、参加してくれたオーディエンスが、何かを得てくれるよう、参加して良かったと思って頂けるように心を砕くようにしていますが、この点もっと肝に銘じようと思いました。

 

 ワインの知識についても、伝えることはとても重要です。特にワインは嗜好品ですので、同じワインを飲んでも、同じ認識を持つとは限りません。いや、程度の差こそあれ、異なる認識を人それぞれ持つようです。ワインの香りの表現を考えてみても、同じように感じているかどうかは、やはりわからない。そこで日本ソムリエ協会が使っているような表現に寄せるわけです。ブルーベリーやブラックチェリーの香りといった表現を使うわけです。

 レストランで、ソムリエに、こういうワインを飲みたいを上手く伝えられれば、と思ったことはありませんか。良いソムリエは、あなたの、『こういうワインが飲みたい。』を理解しようと努力しますが、もし適切に使える表現があれば、楽に伝えることができます。

 

 日々のビジネスや人とのコミュニケーションを考えてみても、伝える技術は必要ですよね。『何を言いたいのか、わかんないんだけど。』ありますでしょ。大事なことは、相手が何を求めているのか、気持ちに寄り添って話をすることではないでしょうか。

雪をかき分けスープカリー

 旭川は雪です。その雪をかき分けて、スープカレーを食べに奥芝商店旭川亭に行って来ました。

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 奥芝商店は、札幌発祥のスープカリー専門店で、札幌、旭川など北海道内にいくつか店舗があり、北海道ではかなりの有名店です。ランチタイムは混み合うので、時間を外して行きました。

https://okushiba.com/

 

 店の外観は、あまりに普通の家的な感じです。カリーではなくてカレーの表札が面白い。

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 靴を脱いでスリッパに履き替え、二階に案内されました。店内は割とアンティークっぽい。けっこう落ち着きます。

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子供の頃、家にあったようなレトロなステレオや黒電話。

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ステレオの上の壁には、キャンディーズや山口百恵などの昔のアイドルのシングルレコードがディスプレイされていました。

 

奥芝商店のカリー

 奥芝商店のカリーは、海老出汁スープが基本になっていて、そこに野菜やザンギ(北海道版鳥の唐揚げ)、ハンバーグなどがトッピングされます。メニューはかなりのバリエーションがありました。

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 今回は、オクシバーグカリーを注文。宗谷黒牛100%のハンバーグがのったものです。ご飯は普通を選択(小、普通、大から選びます)。

 海老出汁スープが、コクがあって実に美味しい。オクシバーグも丁寧に作ってあるのがわかり、満足できます。

 スープカリーなるものを久しぶりに食べましたが、美味いものですね。スープが味のキーだと言うことが良くわかりました。雪をかき分けても食べに来たかいがありました。

赤玉ポートワイン

 子供の頃、赤玉ポートワインというのがありました。もちろんアルコールが入った酒なので、飲んだわけではないんですがね。親が寝酒に飲んでいたようなんです。

 この赤玉ポートワインは、日本独自のもので、ポルトガルのポルト港から出荷される酒精強化ワインのポートワインとは全く異なるものです。

 日本のワインの歴史、つまり明治期以降を見ていくと、赤玉ポートワインにぶつかります。明治の文明開花、殖産興業政策の一貫で、海外からブドウが多品種輸入されました。当時は、病虫害や結実不良などが頻繁にあり、大変な苦労をして輸入品種の栽培を行い定着させたと伝えられています。日本の土着品種の甲州や聚楽などのブドウ栽培は、江戸時代以前から行われていたようです。

 この時期のワイン製造については、輸入品種のブドウ栽培以上に、あまりうまく行かなかったようです。明治時代のワイン販売が上手くいかなかった理由は、日本人の嗜好でした。ワインの酸味と渋み、とりわけ酸味が日本人の嗜好に合わなかったことが原因だと言われています。

 こういう状況下に、どの時代にも優秀な人はいて、『そうか、甘口ワインを造れば良いんだ!』と考えて、甘口ワインの製造販売を始めました。壽屋(現サントリー)の創業者の鳥井新治郎氏が、研究を重ね、1907年(明治40年)4月に、酸度が低い赤ワインに糖とアルコールを添加した「赤玉ポートワイン」を発売しました。現在も、1973年に赤玉スイートワインに改称して販売されています。米1升が10銭の当時、一本40銭という高級品でしたが、日本で最初のヌードポスターなどの販売戦略も功を奏し、たいへん売れて大成功だったそうです。

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出典: サントリー(https://www.suntory.co.jp/wine/original/akadama/history/

 赤玉ポートワインと名付けた理由は、日本酒(清酒)の糖度が、赤ワインよりもポートワインに近かったからだそうです。赤玉の赤は赤玉ポートワインの試作を重ねて創り出した美しい赤い色を表し、赤い玉は日の丸や太陽にも通じることからのようです。

胆石は嫌になるほど痛い

 十年ほど前のある日、突然お腹と背中が痛み出して、我慢ができなくなり、友人の医師のところにかかった。とにかく死ぬほどの痛みで、まさに七転八倒とはこのことかと。エコーをしたりCTを撮ったりした結果、胆嚢結石との診断。紹介してもらった大学病院で、胆嚢摘出手術をうけました。人生で手術はこれが最初で、できれば最後になって欲しいと思っています。

 胆石というのは、年がら年中痛いわけではなく、一定の周期で激痛に襲われるわけです。少なくとも私の場合はそうでした。最初の頃は、3日に一回ぐらいの痛みで、だんだん間隔が縮まってきて、1日に数回痛みがあるようになりました。痛みがない時はなんとも無いわけですが、激痛が来ると、『なんでもいいから、早くなんとかしてくれ』と。もし札束持ってたら、痛みを取り去ってくれた人に全部差し上げてもいいぐらい痛い。痛みがあると鎮痛剤を飲むか、病院にいれば点滴で入れるかなんですが、鎮痛剤では完全に痛みは取れなくて、痛みを取る為には、できた石を取り除くしか方法が無いんですね。尿管結石などの場合は、尿とともに出たり、超音波で破砕したりする方法があるらしいんですが、胆嚢結石の場合は、胆嚢癌の怖れもあるので、胆嚢ごと摘出するしかないんです。

 さて手術です。胆嚢摘出手術は、内視鏡手術で、胆嚢ごと摘出します。摘出した胆嚢は、生検にまわして癌があるかどうかを調べます。私の場合、幸いに癌にはなっていませんでした。良かった。

 内視鏡手術ですから、どうも日帰りでやる病院もあるらしいのですが、私がかかった病院は入院が必要で、手術予定日の1日前に入院しました。昼過ぎに入院して、ベッドでゴロゴロしていたら、担当の外科医の診察と手術の説明があってしんみょうに聞きました。その後、麻酔科の担当医から麻酔関連の説明を受けて、同意書にサインをしました。この麻酔科の担当医は女医さんで、なかなかの美人さんでした。良かった。

 この内視鏡手術、全身麻酔なんですね。始めてで、ビビりましたねぇ。意識が無くなるわけでしょ。無事に生還できるか、などと悪い方向に考える。心配していることを、麻酔科の担当医に告げると、手術中は彼女がついて麻酔の量をちゃんとコントロールしていくので、何も心配はいらないと説明してくれました。最後には、『大丈夫ですよ!』と背中を押してくれました。

 ストレッチャーに寝かされ、手術室に入り、手術用のベッドに移動して、麻酔がかけられ、『眠らないぞ』との決意も虚しく、吸い込まれるように寝てしまったようです。

 名前が呼ばれて、目が覚めると、手術は終わっていました。麻酔のかかった私には一瞬でしたが、丁寧に手術してくれたそうです。病室に戻されると、男性器から入れられたカテーテルに違和感がありました。そう大事なところに管が入っているんですよ。看護師にそう言うと、座薬の痛み止めを入れられ、暫くすると違和感は無くなり、また寝入ってしまったようです。翌日にはカテーテルが引っこ抜かれて、ふと考えたら、痛みも無くなっていました。

 胆嚢が無くなると、どうなるかなんですが、胆汁が供給されなくなるので、食事の油の量が多いとお腹をこわします。私の場合、冷めた油は特にダメですね。揚げて時間の経ったメンチカツやコロッケ、カレーパンなんかは食べるのに勇気が必要です(笑)。

 何が胆石をこしらえるか、つまり胆嚢結石の危険因子は、肥満、高コレステロール食、運動不足なんだそうですが、逆に低タンパク質食も危険因子なんだそうです。まあ、リスクはできるだけ減らしておいた方が良いと思います。なんといっても、胆石イコール激痛ですので。

真っ黒黒ビジュノワール

 私もつい先日始めて飲んだんですけど、ビジュノワールというブドウの赤ワインがあります。ビジュノワールは、『黒い宝石』という意味のフランス語で、実際のブドウも黒ブドウという表現に相応しい黒々としています。

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出典 https://mobile.suntory.co.jp/wine/nihon/blog/15092916.html?transfer=pc_to_mobile&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com

 ビジュノワールは、2006年10月に認定された比較的に新しい品種です。交配親は、山梨27号(甲州三尺✖️メルロー )✖️マルベックになります。マルベックは、フランスでも『カオールの黒』と言われていますので、ビジュノワールもその遺伝形質を受け継いでいるのかもしれません。育成は山梨県果樹試験場。日本の山梨県が誕生地です。

 カオールの黒のブログはこちらです。

https://nwawinescom.hatenablog.com/entry/2020/09/03/065011

 ビジュノワールの特長は、

外観は、濃い赤ワイン。

香りは、ブラックベリー、牡丹、甘草

味わいは、親のメルローにくらべても酸が少なくまろやか。タンニンが多く、ボディはしっかりとしています。

 ビジュノワールは、耐寒性があるようで、山形県や北海道などの冷涼地でも栽培可能なようです。誕生地の山梨県の他、山形県、宮崎県などが有名です。下の写真は、山形県の高畠ワイナリーのものです。

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ビジュノワール

我妻重晴さんの単一畑、垣根仕立て、露地栽培
外観は、ホントに黒ブドウで濃い赤。

味わい 果実味が実に豊か。タンニンは豊富だが穏やか。酸味はソフト。

合わせた料理は、カマンベールチーズ、焼き野菜、肉野菜炒めなど。

 ビジュノワールは、濃い赤ワインですが、真っ黒な外観の割には、優しく飲めるワインだと個人的には思います。デイリーワインには、多少高いのですが、おススメします。